インバウンド需要やアベノミクス成長戦略により景気に明るい兆しが見える一方、最低賃金の引上げによる人件費の高騰、人口減少により人材獲得競争が激しくなっています。飲食・小売業界では慢性的な人材不足に加え、今後ますます人材を確保することが難しくなっていくと考えられます。そこで、まず業務フローを見直し、少ない人材で店舗運営を回していく方法を見ていきます。
働く人材を大きく二つにわけると「正規社員」と「非正規社員」になります。正規社員はいわゆる正社員で、非正規はパートタイム・アルバイトでの雇用になり、業界により正規・非正規の人材不足に大きな違いが出ています。
帝国データバンクが2016年7月に行った調査によると、「正社員」が不足していると答えた企業は「放送」(76.9%)が1位で以下「家電・情報機器小売」(65.0%)「情報サービス」(60.0%)と続き、「飲食店」(51.3%)は8位です。一方、「非正規社員」が不足していると答えた業界別割合は「飲食店」(79.5%)が1位、以下「飲食料品小売」(63.8%)、「娯楽サービス」(63.0%)となっています。
帝国データバンク「人出不足に対する企業の動向調査(2016/8/25)]より
飲食店に「非正規社員」が常に不足している理由としては「人材難による機会損失も含めて、売り上げが上昇する要素が少ない」(同レポートより)ことや競合の多さ、より賃金、待遇を含め条件の良いところに流れやすい傾向があるといえます。
スタッフの確保は運営上、絶対必要ですが、人件費が高く、日本の労働人口が減少していく中で余裕のある人材を常時雇用しておくことは、とくに中小規模の飲食店にとっては困難です。そのため、少ない人材でいかに効率良く業務を回すか、また新しく採用した人材の研修をどれだけ短期間で終えられるかが課題になってきます。そこで、一度現在の業務にかかっている時間を見直し、無駄な部分は削る、順番を変える、統合するなどして可能な限りシンプルにしなければなりません。業務フロー改善によるメリットとしては次のようなものが挙げられます。
ただし、どの業務見直しから優先的に手をつけるべきかを決めなければ効果が薄くなってしまいます。まずは改善のために効果の高い、優先すべきところから見直していきます。
現在お店で行っているそれぞれの作業プロセスを一通り書き出します。ここでは一般的な飲食店を例にプロセスを書き出してみます。(下図参照)
次にそれぞれの作業にかかっている時間を計測。ランチタイムなど忙しくなる時間帯を決めて計測し、あとで作業項目ごとの時間をエクセルで集計します。
それから作業項目を合計時間の大きい順に並べ替え、D列に「累積比率」を出力します。「累積比率」の計算方法はD2のセルをクリックし「=C2/$C$7」と入力。すると作業時間全体の合計から「注文取り」にかかった時間の割合、この場合は28.0%が表示されます。次にD3のセルをクリックし「=(C3/$C$7)+D2」と入力。ここには「注文取り」に「料理を運ぶ」時間をプラスした合計値が表示されます。こうして他の項目にも累積比率を計算していくと、最後の「席への案内」で100.0%になります。次にこれらをグラフ化します。
折れ線は累積比率し、棒グラフは作業時間を表しています。この左にある作業から優先的に業務を改善していく方法を考えていきます。
なお業務改善には「ECRS」と呼ばれる方法を使うと整理しやすくなります。
Eliminate | 排除 | 注文取りをなくすためハンディなどを使う |
Combine | 統合 | 配膳と同時に片付け、空いた皿を持ち帰る |
Rearrange | 順序の変更 | 禁煙・喫煙を聞く前に席の空きを確認しておく |
Simplify | 単純化 | 注文を簡単にするためにセットメニューを増やす |
少ない人数でお店を運営するために、システムを上手く使っていくことが必要になります。しかし、システムの導入、維持コストが人件費を大きく超えてしまっては元も子もありません。
ここでは、最低限必要なPOSレジなどのシステムとコストを抑えるための補助金を紹介いたします。
一般的に設置型のPOSレジよりもタブレットPOSのほうが導入コストを安価に抑えることができます。
FreePOSの場合、タブレットであれば月額4,000円からレンタル可能です。
キャッシュドロア、レシートプリンタ、周辺機器は別途。
POSシステムと連携したハンディ(オーダーエントリー)を使うことで、テーブルで受けた注文をそのままPOSレジ側に連動させることができます。そのため、レジで伝票を打ち直すといった手間がなくなり、スムーズな会計や金額の打ち間違いがなくなります。
購入すると高額(一般的には20〜50万円ほど)になってしまいますが、ハンディをレンタルすることで投資コストを大幅に抑えることができます。
レンタルハンディ・オーダーエントリーについて詳しくはこちら
多くの商品を扱う小売店では商品の登録や在庫管理に多くの時間を割いてしまいます。ハンディターミナルを使うことで商品ごとにバーコード管理ができるようになります。小売向けPOSシステムを使って、バーコードの発行を行い、インストアJANを作成、印刷し、それをハンディのバーコードで読み取るだけで商品管理や棚卸し作業を楽に行うことができるようになります。
小売店向けハンディターミナルについて詳しくはこちら
FreePOSの飲食店向けPOSレジシステム、小売・アパレル向けPOSレジシステムは複数税率に対応した軽減税率補助金対象POSレジシステム(A-4型)になります。システム導入費の3分の2、最大でPOSシステム1本あたり上限20万円、さらに商品マスタの設定費用等を上限20万円の補助金を申請することができます。
軽減税率補助金について詳しくはこちら